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韓国の輸出はなぜ急拡大したのか──半導体主導の成長率上方修正を読み解く

高橋 遥 · 2026.09.21 · 更新 2026.09.21

港に積まれたコンテナの輪郭がなめらかな上昇曲線に溶け込み、中央に半導体ウェハーを思わせる同心円が淡く光る、青とアンバーを基調とした抽象的なイラスト

2026年7月、韓国の輸出額は988億9000万ドルとなり、前年同期比で62.8%増えた。1カ月で1000億ドルに迫る規模であり、同月の貿易収支も303億2000万ドルの黒字と、2カ月連続で300億ドルを超えた。この勢いを受けて、中央銀行と格付け会社が相次いで韓国の成長率見通しを引き上げている。何がこの数字を押し上げているのか。月次の輸出統計、品目の内訳、企業の決算、そして公式の予測改定を順に並べると、半導体を軸にした一本の因果線と、その裏側にある副作用や前提条件が見えてくる。

2026年の韓国輸出に何が起きたのか

まず規模感を押さえておきたい。2026年7月の輸出額は988億9000万ドルで、前年同期比62.8%の増加だった。同月の貿易収支は303億2000万ドルの黒字となり、300億ドル超えは2カ月連続である。輸出が伸びるだけでなく、輸入を大きく上回る幅で伸びている点が、この局面の特徴だ。

時系列で見ると、加速はさらにはっきりする。6月には月間輸出額が初めて1000億ドルを突破した。そして年間ベースでは、9月5日午後1時の時点で累計7094億ドルに達し、年初からわずか248日で前年の年間輸出実績を上回った。1年分の輸出を8カ月余りで積み上げた計算になる。

伸びの中心にある半導体、その比重

この伸びの中心にあるのが半導体である。7月の半導体輸出額は410億1000万ドルで、前年同期比178.8%増。2カ月続けて400億ドルを超えた。同月の輸出全体が988億9000万ドルだったことを踏まえると、単月で4割強を半導体が占めた計算になる。

累計でも構図は変わらない。1月から8月までの半導体輸出額は2812億ドルで、輸出全体の40.6%を占めた。韓国貿易協会のデータでは、1〜7月の時点ですでに2333億7500万ドルと前年同期の約2.7倍に達し、2025年の通年実績を上回っていた。背景としてメモリー価格の上昇が挙げられており、数量だけでなく単価の効果が大きいことがうかがえる。

ただし「半導体一本足」と言い切るのも、数字に忠実ではない。7月は主要20輸出品目のうち19品目で輸出が拡大している。牽引役が一つに集中している一方で、裾野そのものは広がっている。集中度の高さと広がりは、この局面では同時に成り立っている。

サムスン電子の決算が映す需要構造

企業の決算に目を移すと、統計の意味がより具体的になる。サムスン電子の2026年第2四半期は、売上高が前年同期比2.3倍の171兆5000億ウォン、営業利益は19倍の89兆5000億ウォンだった。増益幅が増収幅を大きく上回っている点が、価格主導の好況であることを示している。

内訳を見ると、半導体事業を担うDS部門の売上高が127兆5000億ウォン、営業利益が89兆2000億ウォンで、増収増益の主因となった。技術面では、高性能のHBM4の供給を拡大し、業界初となるHBM4Eのサンプルを出荷している。AI向けメモリーの需要が、価格と技術の両面で業績を押し上げている構図だ。

同時に、副作用も同じ決算のなかに現れている。完成品を扱うDX部門は、プレミアム製品やAI製品の販売拡大で売上高こそ前年同期比で伸びたものの、部品価格の上昇によって営業利益は赤字に転落した。メモリー高は輸出額を膨らませる一方で、それを部品として使う事業の採算を圧迫する。好況の恩恵が一社のなかでも均等ではないことを、この対比はよく示している。

韓国銀行とムーディーズが見通しを引き上げた理由

こうした実績を踏まえ、公式の見通しも改定された。韓国銀行は2026年8月27日、同年の実質GDP成長率予測を3.3%とし、5月に発表した2.6%から0.7ポイント引き上げた。注目すべきはその内訳で、上方修正幅0.7ポイントのうち好調な半導体景気が0.35ポイントと半数を占めた。輸出統計と成長率の関係が、中央銀行の説明によって数値で結ばれた形である。

同じ日に、韓国銀行は政策金利を2.75%から3.0%へ引き上げている。成長見通しの上方修正や物価動向などを踏まえた判断とされる。景気の下支えより過熱への目配りへと、政策の重心が動いたことを示す決定だ。

外部の評価も同じ方向を向く。ムーディーズは韓国のGDPが今年3.5%、来年は2.7%成長すると予測した。今年の見通しは2月時点の1.8%から5月に2.5%へ、さらにわずか3カ月で1.0ポイント引き上げられており、2月比ではほぼ倍増している。半年余りで評価がこれだけ動いたこと自体が、半導体市況の振れ幅の大きさを物語っている。

1兆ドルの先にある前提条件

年間輸出1兆ドルという節目も視野に入ってきた。仮に達成されれば、米国、中国、ドイツに続いて世界で4番目となる。ただし現時点で確定した数字ではなく、残る期間の市況次第という性格のものだ。到達点として語る前に、何がそれを支えているのかを見ておく必要がある。

その支えについて、ムーディーズは半導体市場の好況が少なくとも2027年半ばまで続くとみている。裏を返せば、それ以降については判断が置かれていないということでもある。同社が来年の成長率を2.7%と今年より低く見積もっている点も、現在の伸びが特異な水準であることを前提にした見立てだと読める。

政策面では、韓国政府が半導体、AIデータセンター、フィジカルAIの3分野を重点的に育成する大型プロジェクトを進めており、ムーディーズもこれに言及している。今回の好況が価格変動に左右されやすいメモリー主導である以上、需要が落ち着いた局面で何が残るかは、こうした投資と産業の広がり方に左右される。いま公表されている数字が語るのはここまでであり、その先は今後の統計と改定を追って確かめるべき領域だ。

JETRO · Korea.net

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